作者と読者。双方向の創作論

創作論

はじめに

 ようこそおいでませ、想い咲く箱庭たる『白き悪の想咲庭園ヴァイス・ウィル・ガーデン』へ!
 私はこの庭園の主人オーナー白き悪ヴァイスと申す者でございます。

 本日の想咲談義は、私の創作スタンスについてです。
 実は私、これからは自創作を公表するだけでなく、その解説もしていこうと思っているのですが・・・
 その際の注意事項としまして、読者の皆様には以下のことを頭に留めておいてほしいのです。
 それは・・・

 私の解説が、必ずしも私の作品を読むうえでの「正解」ではない!

 ということです。

「おいおい、作者の見解が正解じゃないなんて何言っとるんじゃわれぇ!」

 と、お思いの方もいらっしゃるかと存じます。
 しかし! 私はそういうこともありえると思っているわけです。

 「公式が勝手に言っているだけ」というパワーワードがありますが、少なくとも私の作品に関しては、そういうスタンスで読んでいただいてオールOK!
 まああくまで私個人の創作スタンスですので、さすがに他作者さんの作品に対してこれ言っちゃあ駄目ですよ勿論。 

 しかし少なくとも私の作品に関しては、私が言うことをそのまま鵜呑みにしてほしくはないのです。
 その理由について、これからいくつかの章に分けて話していきます!

小説を生み出すのは誰か


 皆さまは、小説を生み出すのは誰だと考えているでしょうか。

「そんなの作者に決まっているじゃん」

 そう思う方が大半だと思います。

 しかし! 私はこう言いたい!

小説は、作者と読者の相互関係によって成り立つものだと!!!

 小説に限らず、創作とは一種のコミュニケーションだと私は思うのです。
 作者と読者による、双方向のキャッチボールみたいなもの。

「え? 一方通行じゃない?」

 そう思う方もおられるでしょう。
 あくまで作者が投げ、読者がキャッチする。普通はそう考えるのが自然です。
 ですが私は、そうではないと思っています。
 この辺りの考え方について、これからひとつずつ深掘りして語っていきます!

作者、作品、読者の構図

 創作を語るにあたり、まずは作者、作品、読者の関係性を図にしてみました。
 この三者の関係性については、一般的にこのような構図で考えられているのではないでしょうか。

一般的な関係図

 それに対し、私はこの三者の構図を、以下のように捉えています。

 このように、作者と読者は並列に存在し、ひとつの作品を介して相互にやりとりをしているわけです。
 この図について、次の章で深掘りしていきます。

作品の分裂

 さて、それでは前の章で提示した図について、ひとつずつ流れを説明していきましょうか。

 まず、作者が物語を綴ります。
 これが作者から作品への矢印です。
 次にこの作品を、読者が読みます。
 このとき、上の図ではひとつの矢印が途中で分かたれてそれぞれに届いていますが、下の図では作品と読者がすべて一対一の関係性になっていますよね。

 このとき起こるのが「作品の分裂」です。要するに、物語がひとつ創られ、それを不特定多数が受容したとき、その物語は分裂するということ。
 どのくらい分かたれるのかと問われれば、読者の数だけ、と答えましょう。

 例えば、同じ景色を見たときに受ける感覚は人それぞれ違いますよね。それと同じことが作品の受容においても起こるわけです。これが個々人の解釈となります。

 そしてその解釈は、どれもすべて正解である、というのが私の主張です。それが例え、相反する解釈であってもです。
 同じ作品に対して相反する解釈が成立し得るのですから、この現象を指して「作品の分裂」と言ったわけですね。

 そしてなぜ私が読者それぞれの解釈をどれも正とするかといえば、それが作者にとっても有益だからです。
 読者がその作品を読んで「こう感じた」「こう考察した」というような感想を書いてくださると、それは作者にとっても刺激となります。その作品に対して、作者自身が気付かなかった側面を気付くことができるからです。

 さらに、それぞれ違った考察が飛び交うことで、さらに読者それぞれが作品に抱くイメージというのが補強されていきます。
 このように読者ひとりひとりが作品に対して違った観点を持つことで、作品世界はより彩りを持つのです。

 これはまさに、作者も読者も得する、俗に言うwin-winの関係性ではないでしょうか。
 以上の理由から、私が自作品について何か語ってもそれを鵜呑みにせず、読者の方には自分自身の解釈を大事にしてほしいのです。
 そして願わくば、感想欄などであなた独自の解釈を私に伝えていただけると、これほど作者冥利に尽きることはありません。

 それでは、本日の想咲談義はこれにて終幕でございます。
 皆々様の想いが、色とりどりに咲き誇りますように。
 以上、白き悪ヴァイスがお送りしました!

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