【感想】ヘヴィーオブジェクト一巻 今さらながら読んでみた!

ヘヴィーオブジェクト

はじめに

 ようこそおいでませ、想い咲く箱庭たる『白き悪の想咲庭園ヴァイス・ウィル・ガーデン』へ!
 私はこの庭園の主人オーナー白き悪ヴァイスと申す者でございます。

 実は私、ヘヴィーオブジェクトのアニメは見たことあるのですが、原作をまだ読んだことがなかったんですよね。
 原作厨を自称する私としては由々しき事態。ですので今さらながら読んでみました!
 そんなわけで感想をば。

 それでは皆々様。
 今日も今日とて、想いの華を咲かせると致しましょう。

ヘヴィーオブジェクト (電撃文庫)
結局、戦争はなくならなかった。でも、変化はあった。くだらない殺し合いが淡々と続く中にも、変化はあった。 超大型兵器オブジェクト。それが、戦争の全てを変えた。 戦場に派遣留学した学生・クウェンサーは、整備基地で、奇妙な雰囲気を持つ少女と出会う。その少女は『エリート』と呼ばれていた───『オブジェクト』のパイロットとして。...

圧倒的な読みやすさ!

 とある魔術の禁書目録で有名な鎌池先生の第二作、果たしてどれほどのものなのか。
 鎌池先生は上げたハードルを楽々乗り越えてくる方ですからね。
 期待を膨らませて呼んだのですが、それを踏まえても尚、やはりさすがの一言でした。
 いやはや、これはすごいです。

 まず第一に、読みやすい。
 私は他の鎌池作品ですと、
 ●とある魔術の禁書目録
 ●未踏召喚://ブラッドサイン
 ●アポカリプス・ウィッチ

 このあたりは履修済みなのですが、個人的に読みやすさで言ったらヘヴィーオブジェクトはダントツです。

 近未来戦争ものという難しそうなジャンルながら、めちゃくちゃ気軽に読める。
 鎌池先生自身も多分、ライトさに主眼を置いて書いたんじゃないかな。”ヘヴィー”オブジェクトだけど(激寒ギャグ)

 なんでしょう、コメディと爽快感をメインにしてる感じだから余計にそう感じるのかもしれないですね。
 いい意味で、ノリと勢いで駆け抜ける作品。いや~なかなかに楽しめる一作でした。

恒星級の熱量!

 さて、そんな本作ですが、当然、鎌池作品特有の圧倒的熱量も健在でした。
 オブジェクトという、無敵の兵器に立ち向かうというこれ以上ないくらいのジャイアントキリング。
 絶望的な状況だからこそ燃え上がる、これぞ鎌池和馬だという感じがビンビンの良作です。

 「他の兵器ではどう足掻いても倒せず、オブジェクトに対抗するためには他のオブジェクトを用いるしかない」というほど本当の意味で完全に無敵たる兵器、オブジェクト。
 この設定を思いついた時点で、普通の人であれば真っ先にオブジェクトvsオブジェクトの戦いを主眼とした物語を書こうとするはずじゃないですか。

 しかし、ジャイアントキリングの申し子たる鎌池先生の発想力はやはり一味も二味も違いますね。
 一介の学生とレーダー分析官の2人が、オブジェクトにまさかの生身で挑むとかいうとんでもなく無謀なストーリーを構築してくるとか、ほんと正気の沙汰じゃないですよ!

 しかも戦場の中戦いながら攻略法を探るところがまた、緊迫感を生み出しています。
 しかし、そんな緊迫感のある場面でもコメディは決して忘れないあたり、クウェンサーとヘイヴィア、大物すぎる。
 それに加え・・・

なによりも!
章タイトルが!
かっこいい!

 はい、これは本当にね、筆舌に尽くしがたい。
 というかこの作品に限らず、鎌池先生は章タイトルのセンスがオブジェクト級ですよね。
 『タイトル>>戦場名+作戦名』とか、もうワクワクしないわけないじゃないですか!

 そして実際のストーリーも、章タイトルに負けず劣らず素晴らしいです!
 あと、キャラクターも結構良いんですよね~。

精巧なキャラ造形!

 キャラクターを語るにあたって、やはり最初の一章は別格でしたね。
 何よりこの章はとくに、戦う理由がアツいんですよね。
 お姫様を助けるためオブジェクトに挑むクウェンサーは、ヘイヴィアが揶揄していたように、まず間違いなくナイト様です。
 もうね、開始から80ページでここまで好きになる主人公、なかなかないですよ。ほんと、かっこいいんだよなぁ。

 そしてそんなクウェンサーの相棒たるヘイヴィアも、こいつはこいつで良いキャラしてる。
 クウェンサー1人じゃどうにもならなかったですからね。こいつがいてほんと良かったなぁ、と。

 それに何より、お姫様ですよお姫様。
 オブジェクト操縦士のエリートという、ただ守られるだけでなく自ら戦う系のヒロイン。このお姫様のキャラもまたいいんですよね~。

 たしかにすごい良い娘なんだけど、ちゃんと綺麗な面以外も描写されているところがgood。
 具体的には、「心の中ではあなたたちのことバカにしてた」という吐露をしたシーンですね。
 あれは響きました。

 だってあの世界観でそういう考えに至るのはオブジェクトの操縦士としては本来当然なのに、けれどそう思ってしまうことに罪悪感をずっと抱えていたって・・・ほんと、あそこで好感度上がりましたよ。

 そういう胸の内に隠した本音が曝け出すことで、逆に魅力が上がるのはいいですね。
 昨今の作品はわかりやすいキャラが好まれるので、綺麗なキャラには負の側面を感じさせないように描写する場合が主になっていますが・・・。
 それに対して、こういった人間らしいちょっとした負の感情も描くことでむしろその人の善性を際立たせる、という描写はやはり格段にいいですね~。
 ほんと、こういうの好きです。

終わりに

 そんなこんなでヘヴィーオブジェクト1巻、なかなかに楽しめました!
 これは続きに期待ですね~。お次の採用戦争につきましても現在読み進めておりますので、近々そちらの感想もあげるかも・・・?

 というわけで、今回はそろそろ切り上げさせていただきます。
 私の拙い感想の垂れ流しを見ていただき、誠にありがとうございました!

 皆々様の想いが、色とりどりに咲き誇りますように。
 以上、白き悪ヴァイスがお送り致しました!
 またのご来園を、心よりお待ち申し上げております。

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