はじめに
ようこそおいでませ、想い咲く箱庭たる『白き悪の想咲庭園』へ!
私はこの庭園の主人、白き悪と申す者でございます。
ヘヴィーオブジェクトの二冊目、採用戦争を読んでみましたので、早速感想を述べていきたいと思います!
ヘイヴィアがかっこよすぎる件について
さて、早速語っていきたいと思うのですが、何よりもまず言いたいのは──
今巻のヘイヴィア、かっこよすぎない・・・?
ってことですね、はい。
いや本当に、この一冊はヘイヴィアのためにあったと言っても過言ではないくらい、彼のかっこよさが際立っていました。
まずはそんなヘイヴィアのかっこいいシーンを、章ごとに語っていきたいと思います。
障害物競走なら普通は泥まみれ>>南極大陸制圧戦
まず何よりも、この章の話をしなければヘイヴィアについて語れませんね。
婚約者が月面のリゾートにいることを知り、上からの命令を破って月面基地への攻撃を逸らします。
その一事をとっても株がうなぎ上りですが、個人的に良いなって思ったのがその後の婚約者とのやり取りです。
「あなたは「あれ」さえ諦めれば、こんな事を続けずとも、いつでもウィンチェル家を継げるじゃねーですか」(P93より抜粋)
危険な任務に毎度送り込まれるヘイヴィアのことを心配してそう問いかけた婚約者。それに対するヘイヴィアの返答が、すごくイカしてるんですよね。
「このままじゃ、俺ら二人が辿る道はシェイクスピアの悲劇だ。
だが、俺はそんな結末で終わらせるつもりはねえ。せいぜいあがけるところまであがき続けて、何が何でも家督を継ぐ資格をもぎ取ってみせる。
……そうすりゃ、一族全員を黙らせて、両家のくだらねえいざこざに終止符を打てるんだからな。だから、それまで待ってろ。俺は必ず、資格を得る」(P94より抜粋)
いや、かっこよすぎか! 男だけど惚れそうになりましたよ!
ヘヴィーオブジェクトのナイトとお姫様と言えばクウェンサーとミリンダですけれど、ヘイヴィアと婚約者の娘もそれに匹敵するくらい激アツですね。
もうこれだけでもお腹いっぱいなのに、今回ヘイヴィアのかっこいいシーンはまだまだあるんですよ。続いては、第二章でのヘイヴィア活躍シーンについて語ります。
二人三脚登山は命懸けで>>イグアス山脈砲撃戦
この章でヘイヴィアは、自分がダムのほうをなんとかするから、クウェンサーにオブジェクトのほうをどうにかするよう頼んでいます。
この提案シーンがまあアツい。
この役割分担、どちらもかなり危険極まりない任務ではあるのですが、それでもヘイヴィアは絶対にやり遂げるつもりでありつつ、クウェンサーは絶対にオブジェクトをなんとかしてくれると、自身の相棒を全く疑ってないんですよね。
どちらかが失敗すればすべてがご破産になる。そんな中で、離れていてもしっかりと背中を預けるに足る信頼が二人の間にあるってことが、すごく良くわかるシーンでした。もう、本当に最高!
騎馬戦は足元を崩すべし>>アマゾンシティ総力戦
それでは最後に、ちょっとした、でもだからこそ破壊力のあるシーンをひとつ。
第三章、ヘイヴィアの出番自体は控えめだったのですが、彼の人柄がよくわかる一幕がちゃんとありました。
ページで言うと264ページになりますが、ここで地味に、ヘイヴィアがクウェンサーの怪我を気にかけている描写があるんですよ。
戦闘中ではなく平時においてこういう描写があるのはなんか意外というか。
「細かい部分を気にかける」という印象は、これまでヘイヴィアにあんま抱いてなかったんですよ。
ところがどっこい、こういう描写をされると、「えっ、ヘイヴィアすごく紳士じゃん!」ってなりますよね? 私はなりました。
いわゆるギャップ萌えに近いのかもしれません。少なくとも私はこの部分を読んだ瞬間、良い意味でヘイヴィアに対するイメージが変わりましたとも、ええ。
すべては鎌池先生の掌の上
さて、なんだかヘイヴィアのことについてばかり語ってしまいましたので、ここらでストーリー全体の流れについても話していきますか。
今巻も前巻と同じく三章構成だったのですが、前巻がひとつひとつ独立した物語だったのに対して、今巻はそれぞれの物語が一本の線として繋がっている印象を受けました。
第一章で敵側のオブジェクトは発見されなかったのですが、オブジェクトのスペア砲が稼働していたことから「電力を送っているオブジェクトが実はいたんじゃないか・・・?」という疑念が、その後の章でも付いてまわるわけですね。
そして、それを読者に強く印象付けてくれたのがこの挿絵。

いや、かっこよすぎか・・・!
普段は情報が詳細に載っているからこそ、ほとんど「不明」で書かれたときの破壊力よ。ほんと厨二心がくすぐられますね~。
こいつのおかげで、この巻では終始ワクワクが止まりませんでしたよ。
まあ、そう思わせることがスラッダー・ハニーサックルの策略であったわけですが。まんまと乗っかってしまいましたわ。
毎度のことですが、やはり読者を掌の上で踊らせるのが上手いですね鎌池先生は。
戦う理由
それと今回、地味に良かったな~って思うのは、コーヒー農園の老夫婦との一幕です。
ページにすると2ページにも満たないチョロっと挟まれた単なる場繋ぎエピソード。章の序盤にあるいつもの何気ない日常コメディだと思い、ついついスル―してしまいそうになるほど何気ないものですが、これがかなり良い味を出しているんですよ。
私も最初このシーンを読んだときは、正直なところ一切気に留めませんでした。それくらい、ここ単体で見ると影が薄いのです。
しかしそれが、後半のある地の文によって極めて存在感のあるシーンへと変わりました。
クウェンサーが絶体絶命の状況でオブジェクトと対峙したときの地の文。そこで私は、ハッとさせられました。
銃器を取り出す時、ポケットから何かが落ちた。
それは透明な袋に入っている、手製のクッキーだった。コーヒー農園でもらったものだ。(P231,232から引用)
クウェンサーとヘイヴィアにとって、老夫婦はほんの数分交流しただけの、ほぼ赤の他人のような存在です。
しかし作戦のためにダムが破壊されてしまえば、そういった人々の命が犠牲になってしまう。
それだけで十分に戦う理由になると、ここで物語られているわけですね。
この文で、私は再認識させらました。
戦いっていうのは何も、正義とか世界とか、そういう大きなことを守るためのものじゃない。
小さくささやかな、誰もが当たり前と思っているごくごく普通の日常。
そういう、平凡だけど何より尊いものを守るために戦うのだということを。
おわりに
というわけでヘヴィーオブジェクト二巻、採用戦争の感想でした!
なんだかヘイヴィアについてばかり話してしまいましたが、まあヘイヴィアがかっこよすぎるから仕方ないね(オイ)
そんなわけで、今回はそろそろ切り上げさせていただきます。
私の拙い感想の垂れ流しを見ていただき、誠にありがとうございました!
皆々様の想いが、色とりどりに咲き誇りますように。
以上、白き悪がお送り致しました!
またのご来園を、心よりお待ち申し上げております。
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